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奪って繋いで、また奪う。ヒュルツェラーブライトンが好調の理由

こんにちはSHです。今回は今シーズン絶好調のブライトンに注目した記事を書こうと思います。

現在ブライトンは9節終了時点で3位と上位に位置しています。そして、得点数はリーグ最多の24点。なぜこんなにも良い成績を残しているのか。その理由を紐解いていきます。

目次

3季目を迎えたヒュルツェラーブライトン

まずは簡単に、監督のヒュルツェラーについて紹介しておきます。ヒュルツェラーはドイツ出身の監督で、2024年夏にブライトンの監督に就任しました。前任のデ・ゼルビが築いた「ボールを丁寧につなぐサッカー」をベースにしながら、前線からの強度の高い守備を持ち込んだのが特徴です。

就任後2年連続で8位という好成績を残してきたヒュルツェラーですが、チームは毎年のように主力を他クラブに売却しています。昨シーズンから今シーズンへかけても例外ではなく、主なところでいうとバレバがユナイテッドへ、ファンヘッケがスパーズへと移籍をしました。さらに、前線の柱だったウェルベックはチェルシーへ移り、ミルナーは引退、ヴェルトマン、マーチ、ウェブスターも退団しました。守備の中心と経験豊富なベテランが一気にいなくなった夏でした。そこに代わりに加わったのが、トッテナムから獲得した19歳のCBヴシュコヴィッチや、21歳のMFチェマ・アンドレスといった若手です。加えて、エースの三笘とミンテは開幕からケガで離脱中。普通に考えれば「今季は苦しいシーズンになる」と予想する人が多かったのではないでしょうか。

そんな中でも冒頭に書いたような好成績を残しており、得点数の増加のみならず失点数も昨シーズンと比べると減少しています。

この理由をヒュルツェラーブライトンの戦術から考察していきます。

プレミア仕立ての「高強度な守備」

私が考えるに、今シーズンのブライトンの得点力と失点の減少を支えているのは高強度な守備です。多くの場面で最前線から統率された守備を見せています。場合によっては、GKやCBにもプレスをかけていき、相手からボールを奪った瞬間に決定機になっているという場面も珍しくありません。

万能最強戦術ハイプレス?

では、どのチームも最前線からむやみやたらにハイプレスをかけ続けていれば得点数が増えて、失点が減るのでしょうか。それは違います。ただ選手を走らせてボールを追わせることは、守備の陣形を崩し、選手の体力消耗を招く悪手になるでしょう。しかし、決まり事を決めて、その中で全員が役割を理解して行う組織的な守備はブライトンのように良い結果をもたらします。

それでは、ブライトンはどのような仕組みで守備をしているのかを、試合を見て感じたいくつかの点から見てみましょう。

ハイプレスの仕組み

プレスをかけるタイミングが存在する

ブライトンはずっと同じ強度でプレスをかけ続けている訳ではありません。条件が合ったときに複数人でプレスをかけています。

パターン1:高い位置でマンツーマンで捕まえられたとき。

このパターンがよくわかるのが第1節ヴィラ戦の1点目です。

/https://youtu.be/7zsfqGOsUsw?si=mfmm2UKDyUBf5owI

ヴィラの選手が後ろにスローインをしたタイミングで全員が人を捕まえて一気にボールを取りに行って、得点につなげています。

これはたまたまプレスに行っていた訳ではありません。4点目も見てみましょう。ヴィラの選手が後ろを向いてボールを持った瞬間パスコースを消すようにプレスをかけて奪い取っています。1試合で2度も同じようなシチュエーションで得点をしていることも踏まえると、とても再現性が高く、狙って行われているということがわかると思います。

これが得点力が高い理由につながっていると私は考えています。昨今のトレンドとして最後列(GKも含めて)から繋いでビルドアップしていくチームが多くあります。ブライトンは前線からボールを奪うことで、そこを攻撃の開始位置とすることができます。当たり前ですが、攻撃の開始位置は高ければ高いほどフィニッシュまでいける可能性が上がり、得点も増えます。

コンパクトに攻めている

誤解の無いように書いておきますが、これはピッチを広く使えていないという意味ではありません。あとで書きますが、むしろブライトンはピッチを幅広く使っています。

では、どういう意味なのかというと、「縦にコンパクト」という意味です。ボールを保持した時に、SBやボランチがポケットを狙ったり、カバーに入ることでライン間の距離が狭くなっています。これは、先ほど書いた攻める時の形の結果であり、守る時のためでもあると考えています。守備時のためとはどういうことか。

パターン2:ボールを奪われたとき

ブライトンはゲーゲンプレス(ボールを奪われた瞬間にプレスをかけること)を採用しています。そのゲーゲンプレスをかけやすくするためにコンパクトに攻めているのではないかと考えます。ヒュルツェラーはインタビューで「私たちのアイデンティティはボール保持で相手を上回り、できるだけ早くボールを奪い返す」と言っています。ボール保持だけでなく、わざわざ「できるだけ早くボールを奪う」点について触れていることからもゲーゲンプレスへのこだわりを感じます。

試合結果からわかるブライトンが苦手とする相手

ここまでアーセナル、シティに勝って3位につけているブライトンですが、チェルシーとリヴァプールに敗戦、リーズに引き分けています。

この3チームに共通して言えることは、縦に早く、後ろから繋ぐことに固執をしていません。シチュエーションによりますが、ブライトンは高い位置にある程度人数を割くぶん後ろが手薄になります。ロングボールを使われると前でボールが刈り取るタイミングが少なくなります。

ポジションに拘らないモダンポゼッション

ここまでは守備について書きましたが、ブライトンの強みは守備だけではありません。ここからはヒュルツェラーブライトンの保持時について書いていきたいと思います。

ヒュルツェラーはポゼッションにこだわる監督です。実際に支配率も高く、ポゼッションから違いを生み出そうとしています。ブライトンの現代的なポゼッションの特徴を以下にまとめました。

選手の位置は流動的であるべき

「ポジションは必要だが、最終的にはとても流動的であるべき」とヒュルツェラーはインタビューで語っています。どういうことだと思われる方もいるかも知れませんが、これは試合を見れば一目瞭然です。簡単に言うと、ブライトンの選手はポジションに縛られていません。ボランチの選手がワイドな位置を取ってポケットを狙ったり、キーパーがボールを持っている時にSBが中に入ってきてCBがサイドに開くことでフリーな選手をつくったり、サイドの選手が内側で裏を狙ったりと様々です。

最終的にチームとしては主にサイドからの攻撃を目指しているように見えます。そのためにどの選手も「今」「どこに」いるべきかという役割を考えて立ち位置を決めているのでは無いかと考えています。

足元のある守備陣

これもブライトンの特徴の1つです。ブライトンは短く繋ぐだけではなくロングボールでのビルドアップも行います。最近では後ろの選手にも足元の技術が求められていますが、GKにフェルブルッフェン、CBにダンクと今季加入のヴシュコヴィッチと足元のある面々からヒュルツェラーもいかにその点を重要視しているかが分かります。

さらに、ブライトンはビルドアップだけでなく、保持時にも相手陣地でCB(主にヴシュコヴィッチ)からのサイドチェンジが目立ちます。おそらくこれはチームの決まり事として攻撃が行き詰まった際は逆のサイドに展開するというものがあるのだと試合を見て感じました。このサイドチェンジによって相手を動かすことでスペースを探しながら攻めていくというのがブライトンの保持の基本のカタチになっています。

パスカル・グロス

今シーズンのブライトンを語る上で絶対に外せないのがこの男、パスカル・グロスです。ヒュルツェラーからの信頼は出場時間を見れば一目瞭然です。高い強度のフットボールを行っているにも関わらず、どのコンペティションにおいても全試合先発です。カンファレンスリーグでは出場時間は抑えられているものの、プレミアではほぼ全試合でフル出場です。試合でも本当にどこにでも顔を出しています。かといっていつもボールのそばにいるという訳ではなく、適切なポジション取りを行っているなという印象です。G/Aも現時点ではリーグ4位で7得点に関与しています。走れて、経験豊富な得点に絡む万能な選手。そりゃ外しづらいです。

また、主に前線で若手が台頭してきているブライトンにとって前線の選手をまとめるという意味でも重宝されているのかなと考えています。

感想

今回は、ブライトンはプレミアのみならず世界的に見ても選手の売買がうまく行っているクラブだと思いますが、主力選手が抜けていくのになぜ好成績を残していけるのかについて戦術を中心に書きました。

ブライトンの試合を見ていると、ヒュルツェラーの戦術の強みは底から繋いでくるフットボールに対してとても強いと感じました。それが顕著に現れたのが、ヴィラ戦とアーセナル戦です。すごくうまくハイプレスがハマっていました。逆に、ブロックを敷いて縦に早い攻撃をしてくる相手にどう対応するかが今後のカギになってくるのかなと思いました。

あとこれは個人的な感想ですが、トランジションの入れ替わりのところで激しく、素早いプレーを見ることができるので見ていてとてもおもしろいです。チームの雰囲気も相まって応援したくなるチームだなと感じました。

ここまで良い成績を残しているブライトンですが、この調子でプレミア、欧州を羽ばたいていけるのか。注目しがいのある素晴らしいチームでした。

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